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染色体生物学:ゲノム構造を塩基対レベルの分解能で明らかにする
Nature 595, 7865 doi: 10.1038/s41586-021-03639-4
高等真核生物では、多くの遺伝子がプロモーターから104~106塩基対(bp)も離れた所にあるエンハンサーによって調節されている。エンハンサーには転写因子の結合部位(7~22 bpのものが多い)が含まれ、遺伝子発現の調節には、プロモーターとエンハンサーの物理的な接触が必要と考えられている。クロマチンの構造は、1キロ塩基以上の分解能では広範囲にわたって詳しくマッピングされてきたが、遺伝子発現を決定するタンパク質規模での物理的接触の解明は、これまでは不可能だった。今回我々は、さまざまなクラスの調節エレメント間の物理的接触を塩基対レベルの分解能で決定できる、染色体コンホメーション捕捉法(Micro-Capture-C)を使って、このような相互作用の詳細を明らかにした。その結果、エンハンサー、プロモーター、CCCTC結合因子(CTCF)部位間には接触が離れて点々と生じることが分かり、このようなエンハンサーとプロモーター間の接触の維持に転写因子が重要な役割を果たすことが明らかになった。データからは、接触領域の間のクロマチン内に活性なプロモーターやエンハンサーが存在する時に、CTCF部位間の相互作用が増えることが示された。このことは、クロマチンのループ押し出しが活性なプロモーターとエンハンサーでのコヒーシンの結合量に依存して起こるというモデルを裏付けており、これでCTCFの結合には変化がない組織特異的クロマチン領域形成が説明できる。

