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腫瘍免疫学:TIM-3はインフラマソーム活性化を調節することで抗腫瘍免疫を抑制する

Nature 595, 7865 doi: 10.1038/s41586-021-03626-9

インターフェロンγ産生T細胞上に発現する分子として最初に特定されたTIM-3(T cell immunoglobulin and mucin-containing molecule 3)は、重要な免疫チェックポイント分子であることが明らかになりつつあり、複数のヒト悪性腫瘍においてTIM-3を阻害する治療法が調べられている。腫瘍微小環境のCD8+ T細胞上のTIM-3の発現は、T細胞機能不全の主徴候と考えられているが、TIM-3は他のいくつかのタイプの免疫細胞上にも発現しており、このため抗TIM-3モノクローナル抗体を使った阻害後の結果の解釈は複雑である。今回我々は、単一細胞RNA塩基配列解読と共にTIM-3の条件付きノックアウトマウスを用いて、樹状細胞(DC)上のTIM-3の特異的な重要性を実証する。DC上でTIM-3を喪失させると抗腫瘍免疫が強力に増強されたが、CD4+ T細胞上やCD8+ T細胞上でTIM-3を喪失させてもこの増強は起こらなかった。TIM-3の喪失は、DCの調節プログラム発現を妨げ、CD8+エフェクターT細胞と幹細胞様T細胞の維持を促進した。DCでのTIM-3の条件付き欠失は、活性酸素種の蓄積を増加させ、NLRP3インフラマソームの活性化につながった。インフラマソーム活性化の阻害や下流のエフェクターサイトカインであるインターロイキン1β(IL-1β)やIL-18の阻害は、DCにおけるTIM-3欠失で観察された防御性の抗腫瘍免疫を完全に抑制した。まとめると我々の結果は、DC機能の調節にTIM-3が重要な役割を担っており、TIM-3の阻害がインフラマソーム活性化を調節することによって抗腫瘍免疫を増強させる可能性を明らかにしている。

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