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古気候学:ヤンガードライアスを同期させるラーハ湖の噴火の正確な年代
Nature 595, 7865 doi: 10.1038/s41586-021-03608-x
ドイツのラーハ湖噴火(LSE)は、後期更新世におけるヨーロッパ最大級の火山事象の1つと位置付けられている。LSEのテフラ堆積物は、後期氷期から前期完新世への移行期における代理指標アーカイブを同期させるための重要な等時性を示しているが、噴火の年代については不確かさが残っている。今回我々は、火砕堆積物に埋もれた半化石樹木の年輪年代測定と放射性炭素測定を行い、LSEの年代を1万3006 ± 9年前(1950年を基点とする較正年代)と確定した。これは、これまで認められていた年代より1世紀以上古い。LSEの年代が修正されたことで、ヨーロッパの氷縞粘土湖の年代は、グリーンランドの氷床コア記録に対して必然的にシフトし、これによって、ヤンガードライアスの開始時期は1万2807 ± 12年前(較正年代)となった。これは、これまで考えられていた年代より約130年古い。今回の結果は、ヤンガードライアスの開始時期を北大西洋とヨーロッパで同期させるもので、LSEとグリーンランド 亜氷期1の寒冷化の直接的関連性を排除し、温暖化条件下での大西洋の南北方向の鉛直循環の弱化という大規模な共通機構を示唆している。

