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工学:セル流体工学
Nature 595, 7865 doi: 10.1038/s41586-021-03603-2
自然界には、進化によって最適化された多相輸送過程や多相反応過程の例が数多くある。こうした現象は、複数の長さスケールと時間スケールで起こり、一般に多孔質媒体における気体–液体–固体界面や毛細管現象を含んでいる。多くの生物・生体系は、流体輸送を最適化するよう進化してきた。しかし、生物は極めて複雑で複製が非常に困難であり、人工のマイクロ流体デバイス(通常、平面的で閉鎖されている)は多相プロセス工学に対しては非常に制約が多い。今回我々は、新しい3D印刷法によって可能になった、多相の流れ、輸送、反応の過程を決定論的に制御する、単位セルに基づく三次元構造のプラットフォームである、セル流体工学(cellular fluidics)の概念について報告する。我々は、こうした構造における流れを、セルの種類、サイズ、相対密度のアーキテクテッド設計を通して「プログラム」できることを示す。我々はまた、蒸発冷却やCO2捕捉を例として用い、蒸散や吸収などの気体–液体輸送過程を実証する。我々は、毛細管による駆動や能動的な送り出しによって液体が流れる三次元セル流体工学デバイスにおいて、液体や気体の優先輸送経路を設計・実証し、事前にプログラムされたパターンの選択的金属化の例を提示する。今回の結果は、セル構造のアーキテクテッド・マテリアルの設計や作製と、多相界面の定常状態挙動や動的挙動の解析的予測や数値予測を組み合わせることで、三次元の流体輸送の決定論的制御が得られることを示している。セル流体工学は、多相輸送過程や多相反応過程の空間的・時間的制御に向けて設計空間を一変させる可能性がある。

