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材料科学:単層半導体における電子のウィグナー結晶の特徴
Nature 595, 7865 doi: 10.1038/s41586-021-03590-4
電子間のクーロン反発力が電子の運動エネルギーより優勢になると、二次元系の電子は連続並進対称性を自発的に破って量子結晶を形成すると予測されている。ウィグナー結晶と呼ばれるこの捉えにくい物質状態を二次元拡張系において観測する取り組みでは主に、高磁場中で1つのランダウ準位に閉じ込められた電子の伝導率測定に重点が置かれてきた。今回我々は、光学分光法を用いて、単層半導体における密度3 × 1011 cm−2未満の電子がウィグナー結晶を形成することを実証する。高い有効電子質量と低い誘電遮蔽の組み合わせによって、モアレポテンシャルや外部磁場が存在しなくても、電子の電荷秩序の観測が可能になった。共鳴的に注入された励起子と周期格子に配置された電子の相互作用が励起子バンド構造を変化させ、その結果、光学反射スペクトルにおいて電荷秩序の存在の前触れであるウムクラップ共鳴が生じる。今回の知見は、電荷調整可能な単層遷移金属ジカルコゲニドによって、相互作用エネルギーが運動エネルギーよりも優勢になる多体物理学においてこれまで未知の領域だった研究が、可能になることを実証している。

