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構造生物学:葉酸拮抗剤のPCFTによる認識と輸送の構造基盤

Nature 595, 7865 doi: 10.1038/s41586-021-03579-z

葉酸(ビタミンB9としても知られる)は、核酸やアミノ酸、広く存在するメチル化剤であるS-アデノシルメチオニンの合成の出発点として、細胞内代謝で重要な役割を担っている。葉酸欠乏は、多くの発生障害や免疫疾患、神経疾患と関係付けられている。哺乳類は葉酸をde novo合成できないので、食餌から葉酸を取得し、体内へそれを分配するように進化してきた。プロトン共役葉酸輸送体(PCFT;別名SLC46A1)は、小腸刷子縁膜と脈絡叢を通過する葉酸取り込みを仲介しており、がん化学療法での葉酸拮抗剤の送達の重要な経路にもなっている。PCFTが葉酸、あるいは葉酸拮抗剤を認識する仕組みは現在のところ不明である。今回我々は、PCFTについて、基質の結合していない状態と新世代葉酸拮抗剤(ペメトレキセド)と複合体を形成した状態のクライオ電子顕微鏡構造を示す。我々の結果によって、葉酸拮抗剤認識の仕組みを理解するための構造基盤が得られ、PCFTによって仲介される葉酸輸送のpHによって調節される機構に関する手掛かりがもたらされた。

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