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化学:触媒反応によって駆動される人工分子ポンプ
Nature 594, 7864 doi: 10.1038/s41586-021-03575-3
全ての生体ポンプは自律的触媒であり、化学燃料の触媒的分解によって放出されるエネルギーを利用することによって、細胞の非平衡条件を維持している。これまでに多くの人工分子ポンプが報告されてきたが、それらは全て、光で駆動されるか、動作させるために繰り返し逐次的に試薬を追加したり各サイクル時に電位を変えたりする必要があるかのいずれかである。今回我々は、自律的な化学燃料駆動型情報ラチェットについて報告する。このラチェットは、燃料の存在下で、さらなる介入を必要とせずに、大環状化合物であるクラウンエーテルをバルク溶液から分子軸へと連続的に送り込む。この機構は、軸上のクラウンエーテル環の位置を用いて、環を貫通するとその背後でバリア取り付けを促進させるとともに、環が「捕集領域」に移動するまで次のバリア除去を抑制する。両方の過程のダイナミクスを調整することで、この分子機械が大環状分子を、バルク溶液中の最低エネルギー状態から軸上のより高いエネルギー状態へと連続的に送り込めるようになる。このラチェット作用は、バリアの形成と除去が連続的に起こる条件下で、最大で3つの大環状分子をバルク溶液から軸上へと段階的に送り込むことによって、実験的に実証された。この非平衡[n]ロタキサン(4までのnを特徴とする)は、未反応燃料が存在する限り維持され、その後、環はゆっくり外れる。今回の触媒を用いた人工分子ポンプの駆動は、触媒反応と分子機械の境界領域に新たな機会、知見、研究方向を開くものである。

