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腫瘍生物学:がん遺伝子が推進する腸幹細胞ニッチのリモデリングを追跡する

Nature 594, 7863 doi: 10.1038/s41586-021-03605-0

腫瘍細胞と周辺の微小環境との相互作用は、腫瘍の進行、転移、再発に関わっている。こういった相互作用の解明は、ショウジョウバエ(Drosophila)でのモザイク解析によって進んだが、これまで脊椎動物では、同じような手法を採ることは難しかった。今回我々は、同一組織内で変異細胞と野生型細胞を別々に追跡できる、がん遺伝子に関連したマルチカラーレポーターマウスモデル(Red2Onco系)を開発した。我々は、この系を小腸に適用して、がん遺伝子を発現している変異細胞の陰窩が、周辺の野生型陰窩の細胞構成を変化させ、クローンの緩やかな変化(clonal drift)を加速させることを示す。発がん性KRASやPI3Kを発現する陰窩は、幹細胞の局所的活動を抑制するBMPリガンドを分泌する。一方、発がん性PI3Kを持つ陰窩によって誘発されたPDGFRloCD81+ストローマ細胞の変化は、WNTシグナル伝達環境を変化させる。これらの結果を総合すると、がん遺伝子が推進するパラクリンリモデリングが、野生型組織の維持に有害なニッチ環境を作り出し、発がん性クローンが優勢になるような環境変化を促進すること仕組みが明らかになった。

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