Review

集団遺伝学:古代ゲノミクスから推測される南北アメリカ大陸への人類の定着

Nature 594, 7863 doi: 10.1038/s41586-021-03499-y

古代ゲノムの解析は、10年足らずで、南北アメリカ大陸における先住民の定着および集団史に関する我々の理解を変容させた。そうした研究の結果、後期更新世に始まり完新世にかけて散発的に続いた南北アメリカ大陸の初期の人類集団史は、以前の想定よりもはるかに複雑であったことが明らかになってきている。現在、人類の初期の分散には、これまで知られていなかった独特な複数の集団の北東アジアからの移動が関わっていたことが明白になっており、その中には現時点で既知の子孫が存在しない集団も含まれている。これらの初期集団は、大陸氷床の南から大きく広がって急速に拡大し、さまざまな集団に分岐した。そうした集団の子孫は、その後1万5000年にわたってさまざまな程度の隔離、混合、存続、交代を経験しており、それらのゲノムはアメリカ先住民集団の主要な亜集団間の関係を明らかにするのに役立つ。特に、南北アメリカ大陸の全ての古代人は、後に到達した北極域の集団を除いて、他のどの地域の集団とよりも現代のアメリカ先住民に近縁であり、これは、南北アメリカ大陸には、初期に現代のアメリカ先住民の祖先とは異なる集団が存在したという解剖学的証拠に基づく主張を否定するものである。本論文では、古代ゲノミクスによって明らかになった、考古学的景観を創出した過去の人類集団の解明に役立つとともに南北アメリカ大陸の集団史および文化史に関してより深い洞察を与える、数々のパターンについて概説する。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度