Perspective

材料科学:インテリジェントマターの始まり

Nature 594, 7863 doi: 10.1038/s41586-021-03453-y

人工知能(AI)は、脳の能力やエネルギー効率に着想を得た、非従来型計算パラダイムの開発を加速させている。ヒトの脳は、パターン認識や分類などの計算集約的な認知タスクに特に秀でている。この分野の長期的な目標は、分散コアネットワークに基づいて脳の大規模並列処理を模倣して、自然から着想を得た情報処理方法に厳密に従う、分散ニューロモルフィック・コンピューティングの実現である。相互接続されたコンピューティングブロックの連続的なコンピューティング組織への漸進的な変化を通して、知能の基本的な特徴を示す先進的な物質形態の開発を思い描くことができ、非局所的な様式での情報の学習と処理が可能になる。そうしたインテリジェントマターは、外部刺激を受け、それに応答することによって環境と相互作用しつつ、その構造を内部で適応させて情報の配送と(記憶としての)保存を可能にすると思われる。我々は、ソフトロボティクス、適応型人工皮膚の開発、分散ニューロモルフィック・コンピューティングへの応用について、分子系、ソフトマテリアル、固体材料を用いたインテリジェントマターの実現への進展を概説する。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度