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がん:NF1変異は神経活動依存的な視神経グリオーマの発症を促進する

Nature 594, 7862 doi: 10.1038/s41586-021-03580-6

ニューロンは腫瘍微小環境に必須の細胞構成要素であることが最近明らかになっており、神経活動は数多くの多様な固形腫瘍の増殖を促進することが示されている。腫瘍の進行にニューロンが担う役割は、これまでに明らかになっているが、腫瘍発症(initiation)に対する神経活動の重要性、特にがん素因症候群という状況下での重要性はよく分かっていない。神経繊維腫症1型(NF1)がん素因症候群(神経と密接に関連して腫瘍が生じる)患者の15%は、幼児期に視経路に低悪性度の新生物[視経路グリオーマ(optic pathway glioma;OPG)と呼ばれる]を生じることから、出生後に光によって誘発される視神経活動が腫瘍発症を促す可能性がある。今回我々は、腫瘍抑制遺伝子のneurofibromatosis 1(Nf1)の変異によってOPGを発症することが実証済みのマウスモデルを用いて、視神経活動を刺激すると視神経グリオーマの増殖が亢進し、光を遮断することで視覚経験を減らすと、腫瘍の形成と維持が防止されることを示す。Nf1誘発性OPG(Nf1-OPG)の発症は、Nf1変異マウスが腫瘍発生に感受性を示す発育期の間の視覚経験に依存していることが分かった。網膜ニューロンでのNf1の生殖細胞系列変異は、網膜神経活動に応答して視神経で起こるニューロリギン3(NLGN3)のシェディングを異常に増加させた。さらに、Nlgn3の遺伝学的喪失もしくはNLGN3のシェディングの薬理学的阻害は、Nf1-OPGの形成と進行を阻害した。以上より、我々の研究は、神経活動が一部のタイプの脳腫瘍の発生に必須の役割を持つことを確証しており、OPGの発生率低下や腫瘍進行を抑制するための治療戦略を示すとともに、NF1がん素因症候群のマウスモデルでNf1変異による調節不全がニューロンのシグナル伝達経路で果たす役割を明らかにしている。

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