コロナウイルス:COVID-19の急性期後の後遺症の高次元の特徴解析
Nature 594, 7862 doi: 10.1038/s41586-021-03553-9
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の急性の臨床症状は詳しく明らかにされているが、急性期後に見られる後遺症の包括的な説明はなされていない。今回我々は、米国退役軍人省の全国的な医療データベースを用い、COVID-19と診断された後に少なくとも30日間生存した患者において、6か月間の付随的後遺症(診断、投薬治療、検査値の異常)を、体系的・包括的に検証した。その結果、発症後30日を過ぎたCOVID-19患者は、死亡リスクや医療資源使用のリスクが高まることが分かった。我々の高次元解析法によって、呼吸器系の付随的後遺症の他にも、神経系が関わる後遺症や、神経認知障害、メンタルヘルスの病気、代謝異常、心血管疾患、消化器障害、倦怠感、疲労感、筋骨格痛、貧血などの後遺症が見られることが明らかになった。また、数種類の治療薬(オピオイド鎮痛薬および非オピオイド鎮痛薬を始め、抗うつ剤、抗不安薬、抗高血圧薬、経口血糖降下薬)の付随的使用の増加が明らかになり、いくつかの臓器系で検査値の異常が認められた。今回の、あらかじめ設定した一連の結果の解析によって、COVID-19感染の急性期の重症度が高くなるにつれ(すなわち、患者の非入院、入院、集中治療室への収容に対応して)、後遺症のリスクが上昇することが明らかになった。これらの知見が示すように、COVID-19の急性期を脱した生存患者は、肺および肺以外のいくつかの臓器系にわたって、かなりの健康上の損失を経験することになる。これらの結果から、COVID-19患者の慢性的な健康損失を減らすための医療システム計画や多分野連携によるケア戦略の開発に役立つ情報が得られるだろう。