分子生物学:転写産物RNAはDRループ形成によって相同組換えを促進する
Nature 594, 7862 doi: 10.1038/s41586-021-03538-8
細胞周期のS期とG2期に生じたDNA二本鎖切断(DSB)は、相同組換え(HR)によって修復される。いくつかのHRタンパク質は、転写活性のある座位のDSBへ選択的に動員されるが、転写がどのようにしてHRを促進するのかは、ほとんど解明されていない。今回我々は、局所的な転写がHRに及ぼす影響を評価する方法を開発し、この評価法を使って、転写によってHRがかなりの程度まで促進されることを明らかにした。また、局所的な転写の効果は、転写産物のRNAをDSBの近くに繋留することによって再現されるので、転写によるHRの促進は転写産物RNAを介して起こると考えられる。繋留された転写産物RNAによるHRの促進は塩基配列依存性および方向依存性を示し、これは、転写産物RNAがDNA–RNAハイブリッドの形成によって働くことを示している。ほとんどのHRタンパク質とは対照的に、RAD51関連タンパク質1(RAD51AP1)は、局所的な転写が活性化しているときにだけHRを促進する。RAD51AP1はin vitroでRループの形成を促進し、繋留したRNAが細胞内でHRを促進するにはRAD51AP1が必要である。特に、RAD51AP1はDSBが誘発する供与体DNA中のDNA–RNAハイブリッド形成に不可欠であり、RループをDループに結び付ける。in vitroでは、RAD51AP1が形成したRループが、RAD51を介した局所的なDループ形成を促進し、DNA–DNAハイブリッドとDNA–RNAハイブリッドの両方を含む中間体構造(DRループと命名)を生じさせ、この構造はRAD51が機能するのに適している。このように、転写中の領域内のDSBでは、RAD51AP1が供与体DNAへの転写産物RNAの進入を促し、DRループの形成によってHRを促進する。

