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顕微鏡学:量子的に向上された非線形顕微鏡法
Nature 594, 7862 doi: 10.1038/s41586-021-03528-w
光学顕微鏡の性能は、光子として知られるエネルギーの離散的なパケットに存在する、光の確率的性質によって制限される。光子が検出される時点の無秩序性によってショット雑音が生じ、これによって、感度、分解能、速度が基本的に制約される。この問題に対する古くから確立されてきた解決策は照明光の強度の増大だが、明るいレーザーは生物学的過程を著しく妨げる可能性があるため、この方法は生体系を調べる際には常に使えるわけではない。理論的には、光子の量子相関を用いて、光強度を高めることなく生体撮像を向上できる可能性があると予想されている。今回我々は、量子相関によって、従来の顕微鏡法の光損傷限界を超える信号対雑音比が可能になることを実験的に示す。我々の顕微鏡は、明るい量子相関した照明を組み込んだコヒーレントラマン顕微鏡で、サブ波長の分解能が得られる。この相関によって、従来の顕微鏡法と比べて35%向上したSN比(濃度感度では14%の向上に相当)で、細胞内の分子結合の撮像が可能になった。これによって、他の方法では解像できないと思われる生物学的構造の観測が可能になる。コヒーレントラマン顕微鏡では、標識されていない試料での高度に選択的な生体分子フィンガープリント法が可能だが、多くの用途では光損傷が大きな障害になっている。今回、光損傷限界の克服が実証されたことで、SN比と撮像速度を1桁向上させられると考えられる。

