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神経免疫学:感覚ニューロン由来のTAFA4はマクロファージの組織修復機能を促進する
Nature 594, 7861 doi: 10.1038/s41586-021-03563-7
炎症は組織損傷に対する防御反応の1つであり、異常な治癒を防ぐために厳密に調節される必要がある。組織常在型マクロファージは組織修復に重要な役割を担っているが、治癒の際に炎症性と修復促進性のマクロファージ応答のバランスを調節する正確な分子機構についてはよく分かっていない。今回我々は、マクロファージの組織修復機能の促進に感覚ニューロンが重要な役割を持つことを実証する。日焼け様皮膚損傷のマウスモデルで、GINIP(Gαi-interacting protein)を発現する感覚ニューロンを条件的に除去すると、組織修復異常と皮膚繊維症が起こった。原因となる分子機構の解明から、GINIP+ニューロンのサブセットであるC繊維低閾値機械受容器によって皮膚で産生される神経ペプチドTAFA4が、重要な役割を持つことが明らかになった。TAFA4は、in vitroでは、マクロファージの炎症性プロファイルを直接調節した。Tafa4欠損マウスを用いたin vivo研究では、TAFA4はUV誘発性の皮膚損傷後に、皮膚のマクロファージによるIL-10の産生を促進することが示された。また、このTAFA4–IL-10軸は、IL-10+TIM4+皮膚マクロファージの生存と維持も確実にし、これによって皮膚の炎症が軽減されて組織の再生が促される。これらの結果は、組織損傷後にマクロファージの抗炎症性機能を促進し、繊維症を防ぐ神経ペプチドTAFA4によって駆動される神経免疫調節経路を明らかにしており、炎症性疾患に対する新たな治療法の展望につながる可能性がある。

