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物性物理学:WSe2/MoSe2ヘテロ2層におけるモアレ・トリオンの特徴
Nature 594, 7861 doi: 10.1038/s41586-021-03541-z
ファンデルワールス材料によって形成されたモアレ超格子には、モット絶縁体、超伝導体、一般化されたウィグナー結晶を含む、さまざまな電子相が現れる可能性がある。モアレ超格子によって励起子が閉じ込められると、人工励起子結晶や量子光学効果の実現に有望な新種の励起子が出現する。そうしたモアレ励起子が電荷キャリアと結合すると、相関状態が生じる可能性がある。しかし、電荷と結合したモアレ励起子状態の実験的証拠は存在せず、そうした状態の特性が理論で予測されているわけでもない。今回我々は、二セレン化タングステン/二セレン化モリブデン(WSe2/MoSe2)のヘテロ2層における、モアレポテンシャルと結合したトリオンの光学的特徴を報告する。モアレ・トリオンは、電荷密度依存性が複雑な複数の鋭い輝線を示し、従来型トリオンの挙動とは大きく異なっている。我々は、輻射緩和がトリオン発光に明確に寄与しており、残ったキャリアがさまざまなモアレミニバンドに存在すると推測する。さまざまなデバイスや試料領域において、トリオンの特徴のばらつきが観測されており、これは、試料の不均一性や変動性に対して非常に敏感であることを示している。こうしたトリオンの特徴の観測は、モアレ超格子における高次の電子相関効果に関する今後の理論的研究や実験的研究の動機付けとなる。

