Article

材料科学:六方晶窒化ホウ素における固有の高靭化と安定な亀裂伝播

Nature 594, 7861 doi: 10.1038/s41586-021-03488-1

あるバルク材料が、塑性変形などのいかなる不可逆的損傷も起こすことなく高荷重に耐え得る場合、その材料は一般に脆性で、破局的な破壊を起こす可能性がある。強度と破壊靭性の間のこのトレードオフは、二次元材料空間にも拡張される。例えば、グラフェンは、非常に高い固有強度(約130 GPa)と弾性率(約1.0 TPa)を有するが、脆性で、破壊靭性は低い(約4 MPa m1/2)。六方晶窒化ホウ素(h-BN)はグラフェンに似た、高い強度(約100 GPa)と弾性率(約0.8 TPa)を有する二次元誘電材料である。h-BNの破壊挙動も同様に、脆性で、グリフィスの法則に従うと長い間推測されてきた。今回我々は、予想に反して、単結晶単層h-BNの破壊靭性が高く、その有効エネルギー解放率がグリフィスエネルギー解放率とグラフェンの報告値のいずれよりも最大で1桁高いことを報告する。我々は、単層h-BNにおいて安定な亀裂伝播を観察し、対応する亀裂抵抗曲線を得た。亀裂先端における非対称なエッジ弾性特性と、亀裂伝播中のエッジスワッピングに起因して、亀裂の偏向と分岐が繰り返し起こり、この挙動によってh-BN材料に固有な高靭化が生じ、安定な亀裂伝播が可能になる。今回のin situ実験観察結果は理論解析によって裏付けられており、これは、二次元デバイスへの機械的保護の付与など、単層h-BNにさらなる実用的な利点が加わり、新しい技術的機会が得られる可能性があることを示唆している。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度