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細胞生物学:複製ストレスが押し出しによる細胞除去を促進する
Nature 593, 7860 doi: 10.1038/s41586-021-03526-y
細胞の押し出しは、海綿動物から線虫、昆虫、哺乳類まで、多様な生物が用いている細胞除去機構である。押し出しの際には、1個の細胞がそれを囲んでいる細胞の層から離れるが、後に残る細胞層の連続性はそのまま維持される。脊椎動物の上皮組織は主として押し出しによって細胞を除去するので、細胞押し出しの調節がうまく働かないと、がんをはじめとする上皮の病気につながる。しかし、細胞の押し出しを推進する機構は、完全には分かっていない。今回我々は、線虫の一種であるCaenorhabditis elegansの胚による細胞押し出しを分析するため、ゲノム規模でのRNA干渉スクリーニングを行って、S期特異的に機能する複数の細胞周期遺伝子を突き止め、ライブイメージング実験を行ってこれらの遺伝子が押し出しを制御する仕組みを確認した。押し出される細胞はS期に複製ストレスを経験しており、ATRとCHK1のホモログを介して複製ストレス応答を活性化する。S期への進入を妨げたり、複製ストレス応答を阻害したり、あるいは細胞周期を完了させたりすると、細胞の押し出しが停止した。ヒドロキシウレアで複製ストレスを誘発すると、これが引き金となって、哺乳類の単層上皮からATR–CHK1、それにp53に依存した細胞押し出しが起こった。これらの知見から、複製ストレスによって引き起こされる細胞の押し出しは動物の間で保存されていると結論され、またこの押し出し過程は、哺乳類での腫瘍抑制機能による細胞除去の原型となる過程であると我々は考える。

