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幹細胞:胚における胚葉指定の全体的なmiRNA量による制御
Nature 593, 7860 doi: 10.1038/s41586-021-03524-0
マイクロRNA(miRNA)は胚発生過程で不可欠な機能を持ち、その調節異常はがんを引き起こす。さまざまな組織や腫瘍において全体的なmiRNA量の変化が見られることから、miRNA量の正確な制御が重要であると考えられるが、この制御の基盤となる機構は分かっていない。タンパク質複合体であるマイクロプロセッサーは、1つのDROSHAタンパク質と2つのDGCR8タンパク質から構成されていて、miRNAの生合成に不可欠である。今回我々は、DGCR8の選択的転写開始(ATI)が関与する、発生段階で調節されるmiRNA量制御機構を明らかにする。ATIは、マウス胚性幹(mES)細胞が分化する際に、DGCR8 mRNAのステムループの下流で起こって自己調節性フィードバックループを迂回する。このステムループを欠失させると、DGCR8:DROSHAタンパク質の化学量論的不均衡が引き起こされ、それによってマイクロプロセッサーの不可逆的な凝集、一次miRNA転写物のプロセシングの低下、成熟miRNA量の減少、脂質代謝mRNA標的の広範な脱抑制が起こった。全体的なmiRNA量の制御はmES細胞が多能性から脱出するのに不可欠ではないが、その調節異常は脂質代謝経路を変化させ、in vitroおよびin vivoで胚葉の指定を破壊することで胚発生を妨げる。このmiRNA量の制御機構はヒトにおいて保存されている。我々の結果から、初期胚発生過程では、プロモータースイッチがマイクロプロセッサーの自己調節と凝集のバランスを取って、全体的なmiRNA量を正確に制御し、幹細胞の運命決定を支配していることが明らかになった。

