Article

環境科学:管理された泥炭地の温室効果ガス放出量に最も重要な地下水位の制御

Nature 593, 7860 doi: 10.1038/s41586-021-03523-1

全球の泥炭地に蓄えられている炭素の量は、大気中に自然に存在するものよりも多い。しかし、多くの泥炭地は、排水を利用した農業、プランテーション開発、火災による圧力を受けており、排水された泥炭地から放出される温室効果ガスは、人為起源の全排出量の約3%に相当する。こうした放出を抑制する取り組みは、未排水の泥炭地の保全と排水された系の再湿潤化を通して強化されている。本論文では、英国とアイルランドの16か所で得られた二酸化炭素(CO2)の渦共分散データと、41か所で得られたメタン(CH4)の静的チャンバー測定結果について報告する。我々は、これらのデータと、全ての主要な泥炭地バイオームの地点から得られた公表データを組み合わせた。その結果、年平均の有効地下水位深度(WTDe;空気を含む泥炭層の平均的な深さ)が、温室効果ガスフラックスに対する他の全ての生態系や管理に関連する制御を上回っていることが見いだされた。我々は、WTDeが30 cm以下になるまでは、WTDeが10 cm減少するごとに、CO2とCH4の放出による正味の温暖化の影響(100年地球温暖化係数)が、1年につき1 ha当たり少なくとも3トンのCO2相当量だけ低下する可能性があると推定する。さらに水位を上げると、WTDeが地表から10 cm以内になるまで正味の冷却効果が続くと思われる。今回の結果は、農業用に排水された泥炭地の生産的な使用を必ずしも止めなくても、温室効果ガスの放出を大幅に削減できる可能性を示唆している。例えば、全ての排水された農業用泥炭地のWTDeを半減させれば、全球の人為起源排出量の1%以上に相当する放出量を削減できる可能性がある。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度