Article

気候科学:2003〜2019年に10%増加した全球の陸域蒸発散量

Nature 593, 7860 doi: 10.1038/s41586-021-03503-5

気候変動の下で増大すると予想されている全球水循環の変動を理解するには、全球の陸域蒸発散量を正確に定量化する必要がある。現在の全球の蒸発散量は、モデル、リモートセンシング、in situ観測など、さまざまな情報源から得られている。しかし既存の手法には、モデルの構造や、観測データの全球レベルへのアップスケールなど、広範な不確かさが含まれている。その結果、全球の蒸発散量の変動や傾向はまだよく分かっていない。本論文では、全球の陸域蒸発散量が2003〜2019年に10 ± 2%増加し、陸域の降水量が流出ではなく蒸発散に分配されるようになってきていることを示す。今回の結果は、Gravity Recovery and Climate Experiment(GRACE)衛星とGRACE-Follow On(GRACE-FO)衛星のデータを用いた、全球の陸域蒸発散量の独立した水収支アンサンブル時系列と、それに対応する不確かさの分布に基づいている。全球の陸域蒸発散量の変動は、エルニーニョ/南方振動と正に相関していることが分かった。しかし、この傾向の主な駆動因は、陸域の温度上昇である。今回の知見は、全球の陸域蒸発散量に対して観測による制約条件を与えるものであり、温暖化する気候では全球の蒸発散量が増加するはずであるという仮説と一致する。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度