構造生物学:ガスダーミンDのポアの構造から明らかになった、成熟インターロイキン1の優先的放出
Nature 593, 7860 doi: 10.1038/s41586-021-03478-3
インフラマソームは自然免疫系の細胞小器官であり、カスパーゼ-1をはじめとする炎症性カスパーゼ類を活性化し、これらがガスダーミンD(GSDMD)を切断する。カスパーゼ-1はまた、インターロイキン(IL)1ファミリーの不活性な前駆体を切断し、IL-1β、IL-18のような成熟サイトカインを生成する。切断されたGSDMDは、膜を貫通するポアを形成し、そこからのIL-1放出を可能にして、ピロトーシスを介する細胞溶解を促進する。今回我々は、GSMDMが形成するポアとポア前駆体のクライオ電子顕微鏡構造を明らかにした。これらの構造から、これら2つの状態の異なったコンホメーションが明らかになり、また1個の疎水性アンカーと、正電荷を帯びた3個のパッチを持つ広い膜結合要素の存在が明らかになった。GSDMDポアの導管は大部分が負に帯電している。これに対し、IL-1前駆体は酸性ドメインを持ち、これがカスパーゼ-1によって分解除去される。GSDMDポアによって膜が透過性を持つようになると、溶解されていないリポソームが正電荷を帯びた積み荷や電荷のない積み荷を、同程度のサイズだが負電荷を帯びた積み荷よりも速く放出し、GSDMDポアは、IL-1βやIL-18をそれらの前駆体よりも優先的に透過させる。生きているマクロファージは、GSDMDによってポアが開通すると成熟IL-1βを選択的に放出するが、ピロトーシスを起こしたマクロファージはこうした放出が見られないことは、これらの知見と一致する。GSDMDの酸性残基を変異させると、このような選択性が損なわれ、前駆体の細胞内保持と成熟サイトカインの分泌が妨げられた。従って、GSDMDポアは静電フィルターでの選別によってIL-1の放出を仲介しており、この大型チャネルを通る積み荷の輸送にはサイズに加えて電荷も重要であると考えられる。

