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惑星科学:恒星間彗星2I/ボリソフのコマ内にある気体状のニッケル原子
Nature 593, 7859 doi: 10.1038/s41586-021-03485-4
2019年8月31日、太陽系を通過する恒星間彗星(2I/ボリソフ)が発見された。初期の撮像観測に基づくと、2I/ボリソフは太陽系の標準的な彗星によく似ていると思われる。これは、これまで太陽系外から訪れたことが知られている唯一の恒星間天体(1I/オウムアムア)が複数の異質な特性を有していたことを考えると、予想外である。2I/ボリソフの分光分析からは、一般的なCN、C2、O I、NH2、OH、HCN、COが検出され、その組成が一酸化炭素に富む太陽系彗星のものと似ていることが明らかになっている。また、700 Kを超す温度では、彗星は、金属に富む塵粒子の昇華によって生じる金属蒸気も示す。気体状の金属はごく最近まで、太陽のそばを通過(sunskirting)したり太陽をかすめたり(sungrazing)する明るい彗星や、恒星に飛び込む巨大な系外彗星にしか観測されていなかった。今回我々は、分光観測によって、日心距離2.322天文単位、つまり平衡温度180 Kに相当する所で、2I/ボリソフの冷たいコマの中に原子状のニッケル蒸気を検出したことを報告する。2I/ボリソフ内のニッケルは、1天文単位で寿命が340+260−200秒の短寿命ニッケル含有分子に由来すると思われ、生成される原子数は毎秒0.9 ± 0.3 × 1022個、つまりOH量に対して0.002%、CN量に対して0.3%である。2I/ボリソフのコマ内での気相ニッケルの検出は、最近、太陽系彗星の冷たいコマ内に鉄と共にニッケルが検出されたことと整合する。

