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神経科学:ショウジョウバエの脳全体における活動、代謝、行動の連結

Nature 593, 7858 doi: 10.1038/s41586-021-03497-0

ニューロンの複数のネットワークにまたがる協調的な活動は、多くの種において、静止状態と活動的な行動状態の両方で見られる特徴である。これらの全体的なパターンは数秒から数時間にわたってエネルギー代謝を変化させ、これが、神経活動の代理指標としての酸素消費とグルコースの取り込みの広範な使用を支えている。しかし、神経活動の変化が完全な状態の回路において、行動に関連する時間スケールで代謝フラックスの原因として関わっているのかどうかは不明である。今回我々は、静止状態と活動的な行動状態の両方において、ショウジョウバエ(Drosophila)の脳の2光子顕微鏡法と、神経活動と代謝フラックスの同時測定が可能なセンサーを組み合わせた。その結果、神経活動が代謝フラックスでの変化を促し、脳ネットワーク全体で測定可能なこれらのシグナルの間に密接な連結を生み出すことが明らかになった。我々は、光遺伝学による局所的な摂動を用いて、一過的な神経活動の増加でも、細胞質ゾル中のATPの急速かつ持続的な上昇につながることを示す。この結果は、ニューロンの代謝が、将来的な活動のエネルギー需要を見込んで資源を予測的に割り当てていることを示唆している。我々の研究からはさらに、最小限の行動運動であっても、その開始が神経活動とエネルギー代謝のパターンに大規模な変化を引き起こすことが明らかになり、これによって、脳の広範な関与が示された。神経活動とエネルギー代謝の関係はおそらく進化的に古くて高度に保存されているため、我々の研究は、代謝の代理指標を用いて神経活動の変化を捉える上で重要な基盤となる。

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