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神経免疫学:髄膜リンパ管はミクログリア応答と抗Aβ免疫療法に影響を与える
Nature 593, 7858 doi: 10.1038/s41586-021-03489-0
アルツハイマー病(AD)は認知症の最も多く見られる原因である。ADには有効な治療法はないが、アミロイドβ(Aβ)に対するモノクローナル抗体を用いた受動免疫療法は有望な治療戦略の1つである。脳でのAβ蓄積には髄膜リンパ管による排出が重要な役割を担っているが、髄膜リンパ管機能の調節がADにおける免疫療法の転帰に影響を及ぼすかどうかは分かっていない。今回我々は、5xFADマウス(アミロイド沈着のマウスモデルで、家族性ADに見られる5つの変異を発現する)で髄膜リンパ管を除去すると、Aβ沈着、ミクログリオーシス、神経血管機能不全、行動異常の増悪により、抗Aβ受動免疫療法後の転帰が悪化することを示す。対照的に、血管内皮細胞増殖因子Cの治療的送達は、モノクローナル抗体によるAβの除去を改善した。特に、髄膜リンパ管機能が障害された5xFADマウスのミクログリアの遺伝子シグネチャーと、AD患者の脳から得た活性化ミクログリアの転写プロファイルの間にかなりの重複が見られたことは重要である。まとめると我々のデータは、ADでは髄膜リンパ管による排出の障害がミクログリアの炎症応答を増悪すること、そして、免疫療法と組み合わせた髄膜リンパ管機能の増強がより良い臨床転帰につながる可能性があることを示している。

