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電気化学:リチウム金属固体電池の動的安定性設計戦略

Nature 593, 7858 doi: 10.1038/s41586-021-03486-3

固体電解質は、その高い機械的強度によってリチウム(Li)デンドライトの貫通を抑制すると予想されている。しかし実際には、電池の組み立てや長時間サイクル動作の際に、セラミックペレットにマイクロメートルサイズやサブマイクロメートルサイズの亀裂が生じることが多いため、電池のリチウム金属アノードの実現はまだ困難である。いったん亀裂が形成されると、リチウムデンドライトの貫通は避けられない。今回我々は、リチウム金属応答に対する界面安定性の階層を用いる独自の固体電池設計によって、リチウムデンドライトを貫通させずに非常に高い電流密度を達成したことを報告する。今回の多層設計では、より安定性の低い電解質がより安定性の高い固体電解質で挟まれた構造がとられており、これが、より安定性の低い電解質層に分解を十分限定することで、あらゆるリチウムデンドライトの成長が阻止される。動的に生じる十分制限された分解によって[おそらく分解が誘起する「アンカリング(固着)」効果によって]あらゆる亀裂がふさがれるという、拡張ネジ効果に類似した機構が提案される。LiNi0.8Mn0.1Co0.1O2カソードと対にしたリチウム金属アノードのサイクル性能は非常に安定で、20Cレート(8.6 mA cm−2)で1万サイクル後の容量維持率は82%、1.5Cレート(0.64 mA cm−2)で2000サイクル後の容量維持率は81.3%であった。また、今回の設計によって、マイクロメートルサイズのカソード材料レベルで、110.6 kW kg−1の比出力と最大631.1 Wh kg−1の比エネルギーも可能になった。

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