量子物理学:シリコン量子回路のCMOSベースの極低温制御
Nature 593, 7858 doi: 10.1038/s41586-021-03469-4
最も有望な量子アルゴリズムの実用化を目指すには、数百万個の量子ビットを備えた量子プロセッサーが必要である。大規模量子計算の実現に向けた主要課題は、相互接続の煩雑さである。現在の固体キュービット実装では、希釈冷凍機内の量子チップと室温の電子回路の間に、重大な相互接続ボトルネックが生じる。相補型金属酸化膜半導体(CMOS)に適合する技術を用いた、シリコン内での制御電子回路とキュービットの作製は共に、先進的なリソグラフィー技術に支えられている。極低温で動作するように設計された電子回路は、最終的には同一のダイかパッケージにキュービットと共に集積することができ、これによって「配線ボトルネック」が克服される。今回我々は、個別に調整された集中的なマイクロ波を出力して、20 mKに冷却されたシリコン量子ビットを駆動する、3 Kで動作する極低温CMOS制御チップを報告する。我々はまず、制御チップのベンチマークを行い、理想的なキュービットを仮定すると、電気的な性能が忠実度99.99%のキュービット操作と一致することを見いだした。次に、我々はこのチップを使って、シリコン量子ドットに閉じ込められた単一電子のスピンに符号化された実際のキュービットのコヒーレント制御を行い、この極低温制御チップが、室温の市販装置と同じ忠実度を達成することを見いだした。さらに我々は、2キュービット量子プロセッサーで、複数のベンチマーク用プロトコルに加え、ドイチュ・ジョサのアルゴリズムをプログラムすることによって、この制御チップの能力を実証した。今回の結果は、スケーラブルな全集積化シリコン系量子コンピューターへの道を開くものである。

