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構造生物学:NHEJでの長距離から短距離へのシナプス移行の構造基盤

Nature 593, 7858 doi: 10.1038/s41586-021-03458-7

DNA二本鎖切断(DSB)は、DNA損傷の中でも非常に細胞毒性が高く、DSBの不正確な修復は発がんに結び付く。保存されている誤りを起こしやすい非相同末端結合修復(NHEJ)経路は、がんの治療や、抗体とT細胞受容体に多様性をもたらすのに用いられるDSB誘発剤の効果の決定に重要な役割を果たしている。今回我々は、単粒子クライオ電子顕微鏡法を用いて、ヒトNHEJ因子によって形成される2種類の重要なDNA–タンパク質複合体を可視化した。Ku70/80ヘテロ二量体(Ku)、DNA依存性プロテインキナーゼの触媒サブユニット(DNA-PKcs)、DNAリガーゼIV(LigIV)、XRCC4、XLFは長距離型シナプス複合体を形成し、その中ではDNA末端が約115 Å離れて保持されている。DNA末端に結合した2つのサブ複合体はKuとDNA-PKcsで構成され、DNA-PKcsサブユニットと足場(LigIV、XRCC4、XLF、XRCC4、LigIVからなる)の間の相互作用によって連結されている。DNA-PKcs分子の相対的な向きから、トランス自己リン酸化が起こって、それがDNA-PKcsの解離と短距離型シナプス複合体への移行につながるという機構が考えられる。この短距離型複合体中では、Kuに結合したDNA末端は、XLFに固定された足場によって加工処理と連結のために並べられ、LigIVの1個の触媒ドメインが2個のKu分子間の切れ目に安定に結合している。これは、DSBの2本の鎖の連結に、両方のLigIV分子が別々に関わっていることを示唆している。

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