天体物理学:銀河団Abell 3376の磁場によって屈曲したMRC 0600-399からのジェット
Nature 593, 7857 doi: 10.1038/s41586-021-03434-1
銀河団には磁場が存在することが知られているが、その特性はまだ明らかになっていない。銀河団の磁場は、低温で密度の高いプラズマが周囲の高温プラズマに流れ込むことによって形成される、密度の接触不連続面で観測することができ、こうした不連続面は、合体銀河団Abell 3376(赤方偏移0.0461)で2番目に明るい銀河MRC 0600-399の近くに存在する。東西方向に細長いX線放射は、メガパーセクスケールに達する彗星に似た構造を示す。これまでの電波観測では、MRC 0600-399からの屈曲したジェットが検出されており、これらのジェットはラム圧に逆らってサブクラスターの運動する方向に伝播していた。本論文では、これまでのMRC 0600-399の観測結果に比べて分解能が3.4倍、感度が11倍高い電波観測の結果について報告する。典型的なジェットと対照的に、MRC 0600-399は接触不連続面で90°の屈曲を示し、細く絞り込まれたジェットが屈曲点から100キロパーセク以上にわたって伸びていることが明らかになった。さらに、これらのジェットの反対方向にも淡く細長い電波放射が確認され、我々はこれを「ダブル・サイス(両鎌)」構造と名付けた。スペクトル指数は屈曲点の下流で平坦になっており、これは宇宙線が再加速していることを示している。高分解能の数値シミュレーションからは、不連続面に沿うそろった磁場がジェットの方向転換に重要な役割を果たしていることが示された。ダブル・サイスのジェット形態はシミュレーション結果と一致している。今回の結果は、磁場が、銀河団の構成銀河や銀河団内プラズマの進化に及ぼす影響の解明に役立つ。

