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気候科学:パリ気候協定と南極大陸に起因する将来の海水準上昇

Nature 593, 7857 doi: 10.1038/s41586-021-03427-0

パリ協定は、21世紀の全球平均気温の上昇を産業革命前のレベルと比べて2°C未満に抑え、さらに1.5°Cに抑える取り組みを促進することを目指している。今後数十年間の温室効果ガス排出量は、海洋の熱膨張と陸氷の減少が組み合わさって、100年以上の時間スケールで全球平均海水準(GMSL)に影響を及ぼすと見られる。南極氷床(AIS)は地球最大の陸氷貯留層(GMSLの57.9 mに相当する)で、その氷の減少は加速している。AISの広範な領域が海面下で接地しており、非常に急速な後退を生じさせ得る力学的不安定性の影響を受けやすい。しかし、パリ協定の気温目標の実現が、こうした不安定性の発生を遅らせたり止めたりする可能性については、物理学に基づくモデルでは直接検証されていない。本論文では、観測によって較正された氷床・棚氷モデルを用いて、地球温暖化が2°C以下に制限されれば、南極の氷の減少は、21世紀を通して現在と同様の速さで進むことを示す。しかし、3°Cの温暖化を容認する現在の政策に沿ったシナリオでは、2060年頃を境に南極の氷の減少速度が急激に速くなり、2100年までにGMSL上昇への寄与が現在より1桁大きい年間約0.5 cmになる。化石燃料をより大量に消費するシナリオでは、さらに加速することになる。また、支えている棚氷の薄化や消失によって生じる氷床の後退は、岩盤と海水準のフィードバック機構や地球工学的な二酸化炭素の削減とは無関係に、数世紀にわたって続く。今回の結果は、パリ協定の目標値を超えれば、南極大陸に起因する急速で止められない海水準上昇が生じる可能性があることを示している。

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