免疫学:CARは小腸での胆汁酸に対するT細胞の適応を誘導する
Nature 593, 7857 doi: 10.1038/s41586-021-03421-6
胆汁酸は脂質を乳化する代謝物であり、肝細胞で合成され、肝臓と小腸間での腸肝循環を介してin vivoで維持される。胆汁酸は界面活性剤として、腸肝組織で毒性や炎症を引き起こし得る。核内受容体は、肝細胞や腸細胞での胆汁酸の恒常性を維持しているが、粘膜免疫細胞が小腸粘膜固有層(siLP)で高濃度の胆汁酸に耐性である仕組みは明らかにされていない。CD4+エフェクターT(Teff)細胞は、siLPにおいて生体異物輸送体であるMDR1(Abcb1aにコードされる)の発現を上昇させて胆汁酸の毒性を回避しており、クローン病様の小腸炎症を抑制する。今回我々は、核内生体異物受容体であるCAR(Nr1i3にコードされる)が、マウスの小腸で胆汁酸毒性や炎症を防ぐことができるT細胞における、MDR1発現の調節因子であることを明らかにする。CARの活性化は、siLPに浸潤したTeff細胞で大規模な転写再プログラム化を誘導したが、大腸へ浸潤したTeff細胞ではこれは起こらなかった。CARは、肝細胞での場合と同様に、siLPに浸潤したTeff細胞において、解毒酵素や輸送体だけでなく、重要な抗炎症サイトカインであるIL-10の発現も誘導した。それに応じて、T細胞を再構成したRag1−/−またはRag2−/−マウスで、T細胞のCARを欠損させると、胆汁酸による回腸炎が悪化した一方で、CARを薬理学的に活性化させるとこれが抑制された。これらのデータは、CARが、小腸に浸潤して胆汁酸を解毒し炎症を解消させるT細胞で局所的に働くことを示唆している。このプログラムの活性化は小腸のクローン病を治療する意外な戦略となり、また、小腸におけるリンパ球のさらに特殊化した役割を規定する。

