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神経科学:社会的関わりを抑制する扁桃体回路

Nature 593, 7857 doi: 10.1038/s41586-021-03413-6

交尾や闘争などの生得的な社会行動は、動物の繁殖や生存の基盤である。しかし、社会的関わりは個体にリスクをもたらすこともある。適切なリスク評価と危険な社会的相互作用の抑制を可能にする神経機構についてはほとんど分かっていない。本論文では、扁桃体後内側皮質核(COApm)が、雌マウスが健康でない状態のときに、雄が交尾を抑えるのに必要な部位であることを明らかにする。我々は、解剖学的追跡、機能的画像化、回路レベルのエピスタシス解析を用いて、健康でない雌との交尾の抑制はCOApmから内側扁桃核(MEA)のグルタミン酸作動性ニューロン群への投射によって媒介されることを示す。さらに我々は、COApmからMEAへの接続が雄の交尾行動の調節に持つ役割は、神経修飾物質のチロトロピン放出ホルモン(TRH)に依存していることを示す。TRHはCOApmで発現している一方で、TRH受容体(TRHR)は後シナプスMEAグルタミン酸作動性ニューロンに見つかっている。COApmのTRH発現ニューロンの神経活動を操作することで、雄の交尾行動が調節された。MEAにおいてTRHR経路をリガンド注入によって活性化させると、健康な雌への交尾行動も抑制されたが、TRHRを遺伝学的に除去すると、健康でない雌個体への交尾行動が促進された。まとめると今回の結果は、神経修飾物質TRHに依存する神経経路が、交尾相手となる個体の健康状態に従って社会的相互作用を調節することを明らかにしている。健康な交尾相手を選ぶ能力の欠如は病気の拡散を招く可能性があるため、動物個体は社会的相互作用のコストと利益のバランスを取らなくてはならない。

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