気候科学:21世紀の海水準上昇に対する陸氷の寄与の予測
Nature 593, 7857 doi: 10.1038/s41586-021-03302-y
全球平均の海水準上昇に対する陸氷の寄与については、最新の社会経済シナリオの下での氷床・氷河モデルを用いた予測も、関与しているさまざまなコンピューターモデルから生じる不確かさの系統的な検討を用いた予測もまだ行われていない。最近行われた2つの国際プロジェクトによって、複数のモデルを用いた大規模な予測実験結果が生成されたが、これらは主に旧世代のシナリオと気候モデルを用いており、考慮すべき不確かさを十分に検討できなかった。今回我々は、海水準上昇に対する陸氷の寄与に関する予測の確率分布について、新しいシナリオの下での氷床・氷河モデルの統計的エミュレーションを用いて推定した。その結果、地球温暖化を1.5°Cに抑えることで、21世紀の海水準上昇に対する陸氷の寄与は、現在の排出誓約と比べて半減することが見いだされた。その中央値は、2100年までに海水準相当量(SLE)で25 cmから13 cmへと減少し、氷河の寄与は海水準上昇の半分になる。南極からの寄与の予測は、気候温暖化における氷の減少と降雪の増加という相反する過程の不確かさのため、排出シナリオに対する明確な応答を示さない。ただし、リスク回避的(悲観的)な仮定の下では、南極の氷の減少は5倍になり、現在の政策や誓約の下では、陸氷の海水準上昇への寄与の中央値は42 cmに増加し、1.5°Cに抑えた温暖化の下でも95パーセンタイルでは50 cmを超える。これは、将来の沿岸部の洪水を軽減する可能性を大きく制限すると思われる。このような大きな幅(1.5°C温暖化の下での主要予測によるSLE 13 cmと、現在の排出誓約の下でのリスク回避予測によるSLE 42 cmの間)がある限り、21世紀の海水準上昇に対する適応計画は、気候政策と南極応答予測がさらに制約されるまで、陸氷の寄与について3倍の不確かさを考慮しておかなければならない。

