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進化遺伝学:全脊椎動物種の完全でエラーのないゲノムアセンブリに向けて
Nature 592, 7856 doi: 10.1038/s41586-021-03451-0
高品質で完全な参照ゲノムのアセンブリは、生物学、疾患、生物多様性保全へのゲノミクスの応用の基礎となる。しかし、そうしたアセンブリは、非微生物種に関してはわずか数種でしか得られていない。この問題に取り組むため、国際的なゲノム10K(G10K)コンソーシアムは5年にわたり、高精度でほぼ完全な参照ゲノムアセンブリのためのコスト効率の高い方法の評価と開発を進めてきた。本論文では、脊椎動物の主要な6系統を代表する16種の参照ゲノムアセンブリを行うことによって得られた教訓を提示する。ゲノムの品質を最大限に高めるには、ロングリード塩基配列解読法が不可欠であること、そして未解明の複雑な反復配列およびハプロタイプのヘテロ接合性は、適切に扱わなければアセンブリエラーの大きな原因となることが裏付けられた。今回のアセンブリでは、多数のエラーが修正され、既存の最良の参照ゲノムの一部で欠けていた塩基配列が追加されるとともに、複数の生物学的発見がもたらされた。これらには、多くの偽の遺伝子重複の特定、遺伝子サイズの増大、系統特異的な染色体再構成、コウモリゲノムにおける反復的な独立した染色体切断点、タンパク質コード遺伝子およびその調節領域におけるGC含量の多い標準的パターンが含まれる。我々はこれらの教訓を取り入れ、約7万種に上る現生の全脊椎動物に関して高品質で完全な参照ゲノムを構築し生命科学の全領域における発見の新時代の実現に役立てるという、国際的な取り組み「脊椎動物ゲノムプロジェクト(Vertebrate Genomes Project;VGP)」を開始させた。

