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量子物理学:原子ボース・アインシュタイン凝縮体から分子ボース・アインシュタイン凝縮体への遷移
Nature 592, 7856 doi: 10.1038/s41586-021-03443-0
分子量子気体(すなわち極低温で高密度の分子気体)は、化学反応の量子制御、精密測定、量子シミュレーション、量子情報処理など、多くの用途で利用できる可能性がある。分子が量子領域に達するには、一般に高密度での効率的な冷却が必要であるが、こうした冷却は、分子の集団を加熱し枯渇させる高速非弾性衝突によって妨げられることが多い。今回我々は、g波フェッシュバッハ共鳴の近くで原子の凝縮体に対形成相互作用を誘起することによって、自転する分子の二次元ボース・アインシュタイン凝縮体(BEC)を生成したことを報告する。トラップの幾何学的形状と分子の低い温度によって、非弾性損失の低減が促進され、熱平衡が確保される。我々は、状態方程式を測定して、分子散乱長がボーア半径の+ 220(±30)倍(95%信頼区間)であると決定した。また、強結合領域における対不形成の力学を調べたところ、フェッシュバッハ共鳴の近傍では力学的な時間スケールがユニタリティ極限と矛盾しないことが見いだされた。今回の成果は、フェルミ気体におけるBECからバーディーン・クーパー・シュリーファー(BCS)超流体へのクロスオーバーに類似したボース粒子での現象である、長らく探究されてきた原子凝縮体と分子凝縮体の間の遷移を実証するものである。さらに、我々の実験によって、3HeのA相などの、表面流がゼロでない新たな異方性超流体が予想されている軌道角運動量を持つ凝縮対に光が当たる可能性がある。

