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気候科学:21世紀初頭に加速した全球の氷河の質量損失

Nature 592, 7856 doi: 10.1038/s41586-021-03436-z

グリーンランド氷床や南極氷床以外の氷河が急速に縮小しており、地域の水文が変化するとともに全球の海水準が上昇し、自然災害が増えている。しかし、絞り込まれた質量損失の観測結果が不足しているため、人工衛星の時代であっても、氷河の変化は地理的にも時間的にもパッチワークとして部分的にしか分かっていない。今回我々は、21世紀初頭における、氷河の質量損失の対照的ではあるが加速されたパターンを明らかにする。我々は、これまでほとんど利用されていなかった人工衛星アーカイブを用いて、地球の氷河全ての地表面標高の変化を、高い時空間分解能で図示した。そして、得られた推定値を、独立した精度の高い測定結果と比較して詳しく検証し、全球的に完全で矛盾のない氷河の質量変化の見積もりを得た。我々は、2000〜2019年に氷河は1年当たり267 ± 16ギガトンの質量を失っていることを示す。これは、観測された海水準上昇の21 ± 3%に相当する。また、質量損失が10年につき1年当たり48 ± 16ギガトン加速していることが見いだされ、これによって、観測された海水準上昇の加速の6~19%が説明された。特に、氷床周辺部以外の氷河の薄化速度は、過去20年間で倍増していることが分かった。氷河は現在、グリーンランド氷床や南極氷床の個別の加速度と同程度かそれを超える加速度で、より多くの質量を失っている。多くの地域の質量変化のパターンを明らかにすることで、降水量と気温の10年変動と一致する、対照的な氷河の変動が見いだされた。こうした変動には、北大西洋における質量損失の減速という異常、アメリカ北西部の氷河の損失の大きな加速、カラコルムの質量増加という異常の見かけ上の終了が含まれる。我々は、今回の分解能の高い見積もりによって、氷河の変化の分布を支配する要因に関する理解が深まり、これらの変化を予測する能力があらゆるスケールで向上すると予想する。水資源や寒冷圏のリスクを地方スケールや地域スケールで管理するとともに、海水準上昇を全球スケールで緩和する適応政策を立案するには、観測データを基準にしっかりと評価した予測が不可欠である。

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