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材料科学:中エントロピー合金における化学的短距離秩序の直接観察
Nature 592, 7856 doi: 10.1038/s41586-021-03428-z
複数の主要元素からなる複雑な濃縮固溶体は、高エントロピー合金(HEA)や中エントロピー合金(MEA)として広く研究されており、こうした材料は理想溶体の高い配置エントロピーを持つと仮定されることが多い。しかし、常温では構成元素間のエンタルピー相互作用も予想されており、これによってさまざまな程度の局所的化学的秩序がもたらされる。発現し得る局所的化学的秩序の中で最も解明が困難なのは、ほぼ間違いなく化学的短距離秩序(CSRO)であり、こうした材料ではCSROの確かな証拠はまだ見つかっていない。今回我々は、適切な晶帯軸とマイクロ/ナノビーム回折を、透過型電子顕微鏡法による原子分解能の画像化と化学マッピングと共に用いて、面心立方VCoNi濃縮固溶体においてCSROを明確に明らかにできることを見いだした。補完的な一連のツールからは、CSROの程度/広がり、原子充填配置、化学種による隣接格子面/サイトの優先占有に関する具体的な情報が得られた。CSROの秩序パラメーターと最近接原子殻にわたる対相関のモデリングでは、CSROは、最近接では異種原子の対(V–CoおよびV–Ni)が優先されV–V対が回避されることに由来すると示された。今回の知見は、濃縮固溶体合金においてCSROを特定する方法を提示するものである。我々はさらに、原子ひずみマッピングを用いてCSROによって増大する転位相互作用を実証し、こうしたCSROが変形時の塑性機構や機械特性に及ぼす影響を明らかにする。

