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植物科学:オーキシンを直接可視化するバイオセンサー

Nature 592, 7856 doi: 10.1038/s41586-021-03425-2

植物における最も重要な調節性小分子の1つに、インドール-3-酢酸(別名オーキシン)がある。オーキシンの動的な分布変化は、細胞の形態や分裂から、器官形成および光や重力に対する応答まで、植物の一生のほぼ全ての局面で重要な役割を果たしている。しかし、オーキシンの空間的・時間的分布を細胞レベルの分解能で直接明らかにすることは、これまで不可能だった。そのため、代わりとして、内在性のオーキシン応答装置が関係する不可逆過程を可視化することで、オーキシンの分布を推測しているが、このような系では一過性の変化は検出できない。本論文では、オーキシンの分布をin vivoで定量的に可視化できる、遺伝子コード型のバイオセンサーを報告する。このセンサーは、大腸菌(Escherichia coli)のトリプトファンリプレッサーに基づいており、その結合ポケットがオーキシン特異的なものに改変されている。このオーキシン結合部分に特定の蛍光タンパク質を連結させることにより、蛍光共鳴エネルギー移動信号を読み出しとして利用できる。これまでの系とは異なり、このセンサーは、植物体の個々の細胞や細胞区画内で行われるオーキシンの急速な取り込みや除去を直接監視することが可能である。このセンサーは、根の軸に沿ったオーキシンの空間的分布勾配や、輸送阻害物質によるその摂動に加え、重力ベクトルの変化に応じた内在性オーキシンの急速で可逆的な分布変化にも反応するので、これを利用すれば、植物の一生にわたって、細胞(内)レベルの分解能で、オーキシン濃度とその空間的・時間的変化をリアルタイムで監視できる。

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