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がん:AMBRA1はサイクリンDを調節してS期への進入とゲノムの完全性を守る

Nature 592, 7856 doi: 10.1038/s41586-021-03422-5

哺乳類の発生、成体組織の恒常性維持、がんなどの重篤な疾患の回避には、誤りの起こらないゲノム維持とともに、適切に調整された細胞周期が必要である。ゲノムを複製するという、細胞運命にとって重要な決定を制御しているのは、並行して働く2つの重要なシグナル伝達経路、すなわちMYC経路とサイクリンD–サイクリン依存性キナーゼ(CDK)–網膜芽細胞腫タンパク質(RB)経路である。がんでは一般に、MYC軸とサイクリンD–CDK–RB軸が共に脱調節状態にあり、これに関連してゲノムの不安定性が高まっている。オートファジー性腫瘍抑制タンパク質のAMBRA1は細胞増殖の制御に関わるとされてきたが、その基盤となる分子機構はほとんど解明されていない。今回我々は、AMBRA1がG1期からS期への移行の上流で働くマスター調節因子であり、それによって複製ストレスが防がれていることを示す。細胞レベルと分子レベルの手法とin vivoモデルを組み合わせることにより、AMBRA1がD型サイクリンの分解を介してその量を調節していることが明らかになった。またAMBRA1は、G1期からS期への移行を制御することによってDNA複製の間のゲノムの完全性維持を助けており、これが発生異常と腫瘍増殖に対抗している。さらに、CHK1キナーゼがAMBRA1が欠損した腫瘍での治療標的候補であることが突き止められた。これらの結果によって、複製期への進入とゲノムの完全性の制御についての解明が進み、AMBRA1–サイクリンD経路が極めて重要な細胞周期調節機構であり、胚発生と腫瘍発生でのゲノム安定性に深く関わっていることが明らかになった。

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