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無機化学:強還元性マグネシウム(0)錯体

Nature 592, 7856 doi: 10.1038/s41586-021-03401-w

ゼロ酸化状態の金属の錯体は、安定化されているが反応性の高い、単一金属原子の形態と見なすことができる。そうした錯体は、より貴な遷移金属で一般的である。電気的に陰性な後期の主族元素であるpブロック金属や半金属については、まれな事例が知られているが、前期の主族元素であるsブロック金属をゼロ酸化状態で単離することは困難である。これは、sブロック金属の電気陰性度が非常に低く酸化傾向が強いことと直接関連している。今回我々は、非常にかさ高いモノアニオン性β-ジケチミネート配位子によって安定化された、ゼロ酸化状態マグネシウム(すなわちマグネシウム(0))錯体の例を報告する。有機マグネシウム化合物の反応性は、通常はその有機基の求核性とMg2+カチオンの求電子性によって決まるが、今回報告するMg0錯体は、求核性かつ強還元性の電子豊富なMg中心を特徴とする。この強還元性は、Na+をNa0に還元する能力によって例証された。我々はまた、形式的にMgI–Mg0–MgIユニットと表記できる直線状のMg3核を有する錯体も提示する。こうした多核混合原子価Mgnクラスターは、グリニャール試薬形成の初期段階における短寿命中間体として検討されている。その著しく強い還元力は、特殊な還元剤としての豊かな反応性と応用を示唆している。

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