Article

免疫学:DPP9はNLRP1のC末端を隔離してインフラマソームの活性化を抑制する

Nature 592, 7856 doi: 10.1038/s41586-021-03350-4

NLRP1(Nucleotide-binding domain and leucine-rich repeat pyrin-domain containingprotein 1)はインフラマソームのセンサーであり、カスパーゼ-1の活性化を介してサイトカインの成熟とピロトーシスを誘導する。NLRP1の機能獲得変異は皮膚の重症炎症疾患を引き起こす。NLRP1には、自己タンパク質分解により非共有結合的に結合するサブドメインを生じるFIIND(function-to-find domain)があり、NLRP1の抑制性N末端断片のプロテアソームによる分解によって炎症性のC末端断片(NLRP1 CT)が遊離する。細胞質ゾルのジペプチジルペプチダーゼ8および9(以下、DPP8/DPP9)はいずれもNLRP1と相互作用し、また、DPP8/DPP9の小分子阻害剤はNLRP1を活性化するが、その機構は今のところ分かっていない。今回我々は、ヒトNLRP1–DPP9複合体単独と、DPP8/DPP9の阻害剤であるバリン-ボロプロリン(VbP)を共存させた形でのクライオ電子顕微鏡構造を報告する。得られた構造から、DPP9、完全長NLRP1およびNLRP1 CTからなる三重複合体が明らかになった。NLRP1 CTのDPP9への結合には完全長NLRP1が必要であり、これはNLRP1の活性化が、完全長NLRP1に対するNLRP1 CTの比によって調節されることを示唆している。NLRP1 CTの異所性発現によるインフラマソームの活性化は常に、自己タンパク質分解活性を欠損した全長NLRP1の共発現によって救済された。NLRP1 CTのN末端はDPP9の活性化部位へと入り込み、VbPはこの相互作用を阻害した。このようにVbPは、NLRP1–DPP9相互作用を弱め、N末端断片の分解を促進して、インフラマソームの活性化を誘導する。まとめると我々のデータから、DPP9が低レベルのNLRP1 CTを抑制し、それによってNLRP1インフラマソーム活性化のチェックポイントとして働くことが明らかになった。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度