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神経科学:作業記憶と注意の制御の基盤となる共通の機構
Nature 592, 7855 doi: 10.1038/s41586-021-03390-w
認知制御は、どの情報をいつどのように脳内表現するかを制御することによって行動を導く。例えば、注意は感覚処理を制御しており、前頭前野や頭頂野からのトップダウン信号が課題関連刺激の脳内表現を強化する。同様の「選択」機構が「心の内に」、すなわち作業記憶に保持された表現を制御すると考えられている。今回我々は、作業記憶中のアイテムを選択する時と、感覚刺激へ注意を向けるの時の両方で、共通の神経機構が基盤になっていることを示す。我々は、アカゲザル(Macaca mulatta)で、作業記憶に保持された複数のアイテムから1つを選ぶ課題と、複数の視覚刺激のうち1つに注意を向ける課題とを切り替える訓練を行った。神経活動記録から、選択と注意のいずれの制御も、前頭前野の同様の表現で符号化されていることが示され、前頭前野は領域全般の制御器として働いていることが示唆された。それに対して、注意と選択はどちらも、頭頂野と視覚野で独立に表現されていた。選択も注意も、選択した記憶や注意を向けた刺激の表現を増強・変形することで、行動を促した。特に選択の課題の際には、記憶した複数のアイテムは当初、前頭前野の神経活動の独立したサブスペースに表現されていた。1つのアイテムが選択されると、その表現は元のサブスペースから行動を導くのに使われる新たなサブスペースへと変換された。同様の変換は、注意の場合でも起きていた。今回の結果から、前頭前野は、神経表現を動的に変換して認知を制御し、何にいつ認知演算を振り向けるかを制御していると考えられる。

