Article

神経科学:アストロサイトが運動回路の臨界期を終了させる

Nature 592, 7854 doi: 10.1038/s41586-021-03441-2

臨界期は、神経回路が神経活動によって変化し得る短い期間であり、適切な神経回路の組み立てに必要とされる。臨界期の延長は神経発達障害と関連付けられているが、臨界期の適切な時期での終了を保証する機構については、ほとんど分かっていない。今回我々は、発生中のショウジョウバエ(Drosophila)の運動回路において臨界期を定義し、臨界期の適切な終了にはアストロサイトが不可欠であることを明らかにする。臨界期中は、活動の変化によって、運動ニューロンにおける神経突起の長さと複雑性、ニューロンの接続性が調節されることが分かった。アストロサイトは臨界期終了の直前にニューロピルに侵入しており、アストロサイトの除去は臨界期を延長させた。さらに我々は、遺伝学的スクリーニングを用いて、臨界期を終了させるアストロサイトと運動ニューロンの間のシグナル伝達経路として、ニューロリギン–ニューレキシンシグナル伝達などを特定した。シグナル伝達の低下は樹状突起の微小管の不安定化、樹状突起の動性の増大、移動運動行動の障害につながり、これによって、臨界期の終了の重要性が裏付けられた。以前の研究で、アストログリアが個々のシナプスの可塑性の調節因子であることが示されたが、本研究では、アストロサイトが運動回路の臨界期の終了も調節しており、それによって適切な移動運動行動を保証していることが明らかになった。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度