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構造生物学:セロトニン受容体の脂質とリガンドによる調節の構造的考察

Nature 592, 7854 doi: 10.1038/s41586-021-03376-8

セロトニン、すなわち5-ヒドロキシトリプタミン(5-HT)は重要な神経伝達物質で、Gタンパク質共役受容体中で最大のサブタイプファミリーを活性化する。5-HT1A、5-HT1D、5-HT1Eなどの5-HT受容体を標的とする薬剤はさまざまな病気の治療に用いられている。5-HTは高いレベルの定常活性を持ち、脂質による調節を受けるが、これらの受容体の脂質による調節や定常活性の構造基盤、また5-HTの持つ特異性の低い受容体活性化作用の構造基盤はまだ解明されていない。今回我々は、5-HT受容体とGタンパク質が作る複合体について、5つの構造を明らかにした。すなわち、アポ状態の5-HT1A、5-HTと結合した5-HT1A、抗精神病薬アリピプラゾールと結合した5-HT1A、5-HTと結合した5-HT1D、5-HT1Eと5-HT1Fの選択的アゴニストであるBRL-54443と複合体を形成した5-HT1Eの5つである。リン脂質であるホスファチジルイノシトール4-リン酸がGタンパク質と5-HT1Aの界面に存在しており、5-HT1Aを介したGタンパク質活性を上昇させる作用を持つことが分かった。受容体の膜貫通ドメインはコレステロール分子に囲まれており、特に5-HT1Aの場合は、コレステロール分子がリガンド結合ポケットの成形に直接関わっていて、アリピプラゾールに対する特異性を決定している。アポ5-HT1Aのリガンド結合ポケット内には構造化して5-HTに似た形の水分子があって、これが受容体を活性化している。今回の研究は、脂質と水分子がGタンパク質共役型受容体を調節する仕組みという長年にわたって解決されなかった問題に取り組んだもので、5-HTが特異性の低いパンアゴニストとして作用する機構が明らかになり、5-HT受容体の薬剤認識の決定因子が突き止められた。

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