適応免疫:常在部位が拡大可能であることが免疫恒常性を体内に広く分散させる
Nature 592, 7854 doi: 10.1038/s41586-021-03351-3
後生動物では、特定の役割が専用の器官に任せられ、このような器官は発生の初期に確立されて別々の場所を占め、通常はサイズが一定である。成体の免疫系は、一元化された造血ニッチから生じ、自己複製能を維持している。免疫系は成熟すると全身に分布し、環境内の擾乱を監視して、組織恒常性の調節に当たり、個体全体にわたる防御に関わるようになる。今回我々は、成体マウスの組織内で免疫が組織化される仕組みを調べ、さらにその耐久性、拡大性、器官の細胞含量への関与という問題に取り組んだ。抗ウイルス性T細胞免疫について調べたところ、常在性記憶T細胞は耐久性があり、感染後最長450日まで維持されることが観察された。常在性T細胞は、いったん確立されると、生存あるいはエフェクター様の待機状態の維持のためにT細胞受容体を必要としなかった。常在性記憶T細胞はほとんどの粘膜器官で持続的に優位を占めていたが、並体結合マウスの外科的分離により、血液中を循環するエフェクター記憶T細胞は組織常在性記憶T細胞に起源があることが明らかになり、また循環中の記憶T細胞は一部の器官の組織免疫に時間を掛けてかなりの程度関与するようになることが分かった。連続した免疫感作、あるいはペットショップマウスとの同居の後には、ほとんどの組織で、組織の柔軟性(組織が自身の免疫細胞の割合を変化させる能力)により、組織常在性記憶T細胞の蓄積が可能になり、既存の抗ウイルス性T細胞免疫にはっきり分かるような浸食が生じないことが明らかになった。これらの知見から演繹することで、組織常在性と器官の柔軟性が、自然免疫および適応免疫の恒常性の基盤となる一般化可能な性質であることが実証された。免疫系は微生物との遭遇に比例して増大し、内臓の細胞含量の最大25%に達した。多くの白血球集団は、存在する場所に関係なく、非リンパ系器官内で組織常在性プログラムを採用していた。従って、非リンパ系器官での免疫監視の典型的な特徴は、複製や再循環ではなく、常在性であり、器官は一生を通じて細胞性免疫系の継続的な拡大に対応できる柔軟な貯蔵リザーバーとして機能している。造血は免疫系の一部の要素を回復させるが、非リンパ系器官は、耐久性のある組織自律的な細胞性免疫の発生を維持していて、それによって個体の免疫恒常性を漸進的に体内に分散させている。

