物性物理学:魔法角グラフェンにおけるポメランチュク効果のエントロピー的証拠
Nature 592, 7853 doi: 10.1038/s41586-021-03319-3
1950年代、ポメランチュクは、液体3Heが直観に反して、加熱すると固化する可能性があると予言した。この効果は、原子が空間的に局在する固体相において、過剰核スピンエントロピーが高いために生じる。今回我々は、魔法角ねじれ2層グラフェンにおいて類似の効果が起こることを見いだした。我々は、局所的および大域的な電子エントロピー測定を用いて、モアレ単位格子当たり電子1個の充填率付近で、電子エントロピーが単位格子当たり約1kB(kBはボルツマン定数)まで著しく増加することを示す。この高い過剰エントロピーは、面内磁場によって抑制されており、磁気起源であることが示唆される。電子密度の関数としての圧縮率の鋭い低下は、フェルミ準位のディラック点付近へのリセットを伴っており、2つの相の明確な境界を示している。我々は、このジャンプを電子密度、温度、磁場の関数としてマッピングした。これによって、低エントロピー電子液体からほぼ自由な磁気モーメントを持つ高エントロピー相関状態への、温度および磁場に駆動されるポメランチュク様の転移に一致する相図が明らかになった。この相関状態は、一見矛盾するように見える特性の異常な組み合わせを特徴としており、そうした特性には、熱力学的ギャップの不在、金属性、ディラック様圧縮率などの遍歴電子に関連するものもあれば、高エントロピーや磁場下でのその消失などの局在モーメントに関連するものもある。さらに、これら2組の特性を特徴付けるエネルギースケールは非常に異なっており、圧縮率ジャンプは約30 Kの温度で始まるが、磁気励起のバンド幅は約3 K以下である。今回の相関状態のハイブリッド性や、エネルギースケールの大きな隔たりは、ねじれ2層グラフェンにおける相関状態の熱力学特性や輸送特性に関係してくる。

