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神経科学:飢餓は神経ペプチドYのスポットライトを介して食物のにおいへの誘引を強める

Nature 592, 7853 doi: 10.1038/s41586-021-03299-4

嗅覚は動物の内的状態により制御されているが、その機構はよく分かっていない。食物や配偶相手、競争者、捕食者などを表現するにおいは、平行する神経回路を活性化させ、それらの回路が生理的要求によって柔軟に形作られることで行動の結果が変化すると考えられる。今回我々は、マウスで、飢餓によって他のにおいの合図よりも食物のにおいへの誘引が選択的に強められるニューロン機構を突き止めた。視床下部のアグーチ関連ペプチド(AGRP)発現ニューロンを光遺伝学的に活性化すると、食物のにおいへの誘引が強まるがフェロモンへの誘引には影響がなく、また、神経分枝選択的な活性化と抑制の実験から、視床室傍核への投射の重要な役割が明らかになった。神経ペプチドY(NPY)または5型NPY受容体(NPY5R)を欠失させたマウスは、絶食後にフェロモンより食物のにおいに誘引される傾向を示さなくなるが、AGRPニューロンで細胞特異的にNPYを回復させると、飢餓依存性の食物のにおいへの誘引傾向が復活した。さらに、NPYの急性投与によって、追加の訓練を要さずに食物のにおい嗜好が回復することから、NPYはにおい学習の際の嗅覚回路への書き込みではなく、行動発現の際の嗅覚回路の読み出しに必要なことが分かる。まとめると今回の知見は、食物のにおい応答性ニューロンが、視床のNPYの放出を介して飢餓状態を感知する嗅覚サブ回路を構成していることを示しており、より一般的には、内的状態がどのように行動を調節するかについての機構的手掛かりをもたらしている。

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