流体力学:イオン化気体ジェットを用いた液体不安定性の安定化
Nature 592, 7852 doi: 10.1038/s41586-021-03359-9
気体ジェットを衝突させると、液体表面にくぼみを生じさせることができる。これは、コップに入ったジュースの真上にストローで空気を吹き付けると空洞ができるのを観察したことのある人なら誰でも身近な現象だろう。液体表面のくぼみ状の安定した空洞は、気体ジェットの衝突、重力、表面張力の間の力のバランスに起因して形成される。気体ジェットの速度が増すにつれて、空洞は不安定になり、振動運動、発泡(レイリー不安定性)、しぶき(ケルビン–ヘルムホルツ不安定性)が現れる。しかし、その科学的および実用的な重要性、特に特定の気体吹き付け系における空洞の不安定性の成長の低減に関する重要性にもかかわらず、そうした気液系における空洞の流体力学的不安定性には、これまでほとんど注意が払われてこなかった。今回我々は、シャドウグラフ実験と、二相流体およびプラズマの計算機モデリングに基づいて、水面に衝突する気体ジェットの場合、弱イオン化気体によってそうした不安定性が安定化することを実証する。我々は、電場下での加速された荷電粒子から中性気体への運動量移行によって生じる電気流体力学(EHD)的な気体流(いわゆる電気風)に関連する界面力学に注目した。プラズマ弾丸と呼ばれる、パルス状のイオン化された周期的な波からなる弱イオン化気体のジェットは、中性気体のジェット単独よりも、電気流体力学な流れを介して水面に大きな力を及ぼし、このため、空洞を不安定化させずに膨張させることができた。さらに、双方向性の電気流体力学的な気体流と、「空洞内で」相互作用するプラズマによって生じる気体と水の界面に平行な電場の両方によって、表面がより安定になる。今回の事例研究によって、プラズマによって生じた力を受ける液体のダイナミクスが実証され、物理的過程に関する知見が得られるとともに、プラズマ–液体系など、弱イオン化気体と変形可能な誘電性物質の間の相互依存性が明らかになった。

