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生殖生物学:ヒト胎盤における固有のモザイク性と大規模な変異

Nature 592, 7852 doi: 10.1038/s41586-021-03345-1

胎盤には、胎児には存在しないような染色体異常が認められることがある。こうした遺伝物質的な分離は胎盤限局性モザイクと呼ばれ、その基盤はいまだに不明である。今回我々は、ヒトの86点のバルク胎盤試料(平均重量28 mg)と106点の胎盤組織の顕微解剖試料の全ゲノム塩基配列解読を行い、体細胞変異から系統関係を再構築することによって、胎盤細胞の系統発生を調べた。その結果、全てのバルク胎盤試料において、遺伝的に他とは異なるクローンの拡大が見られ、そのゲノム全体像は、変異量と変異の痕跡の点で小児がんのものによく似ていることが分かった。胎盤のゲノムにはコピー数の変化が含まれていることが多く、これは我々の知る限り、これまでに調べられたいかなる健康なヒト組織とも異なっている。同一の妊娠に由来する複数の組織間の系統発生学的関係を再構築したところ、発生上のボトルネックにより、栄養外胚葉性系統が内部細胞塊由来の系統から分離され、これによって胎盤組織が遺伝的に隔離されることが明らかになった。注目すべきことに、一部の事例では、接合子が数回細胞分裂する間に、胎盤系統と内部細胞塊由来の系統との完全な分離が起きていた。こうした胚発生初期のボトルネックによって、接合子の異数性の正常化が可能になっているのかもしれない。また、こうした正常化の直接的証拠として、モザイク性のトリソミーレスキューが1例観察された。これらの知見は、胎盤組織における大規模な変異誘発を明らかにしており、モザイク性が胎盤発生の典型的な特徴であることを示唆している。

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