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動物行動学:気候に駆動される渡りルートの変化と記憶に基づく長距離の渡り

Nature 591, 7849 doi: 10.1038/s41586-021-03265-0

北極圏の季節的に好条件となる繁殖地を利用する渡り鳥は数百万羽に上るが、こうした北極圏に生息する鳥類の渡りルートの形成、維持、未来と、渡りの距離の遺伝的決定要因についてはほとんど知られていない。今回我々は、ユーラシア大陸の北極圏で繁殖したハヤブサ(Falco peregrinus)の6個体群に属する56羽を人工衛星を用いて追跡することで大陸規模の渡りのマップを構築し、うち4個体群に属する35羽についてゲノム塩基配列の再解読を行った。その結果、これらの繁殖個体群はユーラシア大陸全域にわたる5つの異なる渡りルートを用いていることが分かり、これらのルートはおそらく、最終氷期極大期から完新世への移行期に繁殖地の経緯度の変化によって形成されたと考えられた。これらの渡りルートは現在、環境的に互いに異なっており、各ルートの固有性はこうした相違によって維持されているようである。また、個体群レベルの渡りの距離の差異には、ADCY8遺伝子が関連することが示された。この遺伝子の調節機構を調べたところ、ハヤブサの個体群間に見られるADCY8の相違に対する選択因子は、長期記憶である可能性が極めて高いことが分かった。全球の温暖化は、ユーラシア大陸の北極圏に生息するハヤブサ個体群の渡り戦略に影響を及ぼし、繁殖域を縮小させると予測されている。生態学的相互作用と進化的過程を利用して気候に駆動される渡りの変化を調べることは、渡り鳥の保全に役立つ可能性がある。

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